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    と訊くと、遊び友達と河へ行つたといふ返事であつた。

    「おい、お茶を入れてくれ」

    根津はだまって答えなかった。その翌日、彼は城外で戦死した。

    直造は、然し、突嗟とつさのうちに考へをまとめることができなかつた。彼はあの慇懃な荘重さをとりもどしていた。が、何となく悄しをれた所のある物腰で、房一の挨拶を受けたのだつた。

    例の奉祝行列のお終ひに小谷から慰労宴をやらうと云はれたときに、房一は道平が練吉の診察を受けたまゝになつているのを気にかけていたことを思ひ出し、練吉をも加へて小谷と二人を招待しようと云つたのだが、小谷はそれはそれ、これはこれと云つて聞き入れなかつたので、改めて今二人を料亭染田屋に招いたのであつた。

    と、房一はもう一度感心した。

    八月も末だつた。十日あまり思ひがけない涼しさがつゞいたので、このまゝ九月に入るのかと思はれたが、暑さは又ぶり返して、がまんがならないほどだつた。

    房一は手足を洗ふと、簡単に診察着をひつかけて表へ廻つた。

    「あれですよ。半之丞の子と言うのは。」

    と、彼は恐しく手まどつて答へた。

    高間医院では房一の帰りが遅いので盛子が一人で気を揉んでいた。ほかでもない、房一はその日の夕方から鍵屋の法要ほふえうに案内を受けていたのである。

    「はあ――ふむ、うちへもかね」

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