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    「や、これは。高間さんですか。お久しぶりで」――「お忙しいですか」

    「ほんとうに火事があつたのかい」

    「獲とれましたか」

    今度は、徳次も完全にびつくりしてしまつた。彼のきよろりとした眼には、どこか少し先きで火事があると聞いた時のやうに、何だか落ちつかない、興昧ありげな色が浮んでいた。

    「うん」

    「なに、ろくでもない用事で帰つたもんですから、どこへも失礼していたんです」

    「高間さん、ひとつ何とかして引上げさせて下さい。このまゝでは――」

    徳次は又ぐらりとした。

    「さやうでござりますか」

    「神尾司令官閣下と同列なんだよ。宇品から東京駅着。それから直ちに参内上奏されたんだよ。どうも、すばらしいね。目に見えるやうだね」

    「よし、それでは預つとかう」

    が、それは徳次であつた。

    「さつき、河原で、先生に会つたんでさあ。――往診に出かけなさる途中でね」

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